• プロフィール

    Author:大坪敬史

    大坪 敬史
    関西学院大学 文学部地理学科卒。
    民俗学、文化人類学、観光地理学を学ぶ傍ら、大手旅行会社での添乗・実務業務に没頭。日本文化を守り伝えていく“地域活性化”を志し船井総合研究所入社。
    宿泊施設のマーケティング戦略立案から、具体的な販促実務までを主軸に置いたコンサルティングを展開。中でもインターネットを駆使したWeb販促&直販売上倍増ノウハウ&即時業績向上には定評がある。 世界に誇る日本文化を次代に語ること、、、をテーマに全国を日々巡礼中。
    2010年1月、日本の観光業の永続的発展を目指した株式会社観光文化研究所を設立。代表取締役に就任。
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    2020年10月02日

    「地域共通クーポン」の理想と現実

    上諏訪に出張でした。

     

    訪問先の旅館様では、10/1スタートした「地域共通クーポン」で
    大忙しの状況でした。

     

    自社予約のお客様に「地域共通クーポン」を配るのは当然の話ですが、
    楽天やじゃらんなどのOTA経由予約のお客様にも「地域共通クーポン」
    の手配をしないといけないのは、大きな手間です。

     

    業界全体人手不足のなか、過大な負荷を現場にかけている認識はOTAに
    あるのでしょうか?
    クーポン1枚発行ごとに、OTAに発行手数料を請求しても問題ない位の
    業務負荷。業界全体として、OTAに発券手数料を求めていきたいものです。

     

    また、地域の飲食店や土産物店の活性化の一助に、という大義名分でスタート
    した「地域共通クーポン」ですが、実際に地域で使えるお店は驚くほど
    少ないのが現状です。

     

    上諏訪でも、たまに昼食で利用させていただく地元の人が足繫く通う
    蕎麦屋さんがあるのですが、その蕎麦屋さんは「手間がかかる」と本事業
    に参加されないことを早々に決められたそうです。

     

    実際には「手間がかかる」と同時に「キャッシュフローが回らなくなる」
    ということも大きな要因と考えられます。
    中小小売店・飲食店はただでさえ、コロナ禍でダメージを受けています。
    たとえ「地域共通クーポン」が使われたとしても、入金までの時間があり、
    その間のキャッシュアウトが心配されるのでしょう。

     

    旅館のように、平時から旅行会社から2~3ヶ月遅れで入金される「クーポン」
    という悪弊に慣れている業種は後払いでも良いですが、そうでない方々は現金
    が滞ることが死活問題につながります。

     

    「地域共通クーポン」の理想は素晴らしい。
    しかしながら、理想だけでは商売は回っていかない。
    制度設計した方々はぜひ今回の反省点を踏まえ、次の施策につなげていってもらい
    たいと切に願います。