最近、新聞紙面や雑誌特集でも「シニア市場を攻略しよう」という話題がでてきました。若年層人口の減少と所得の減少を鑑みて老年層の人口ボリューム、貯蓄を狙え!という趣旨の記事が大半です。
旅館業界においても、「シニア市場攻略」というテーマは避けて通れません。尖閣問題で揺れる昨今の現状からも、「国を超えて遠くから来ていただけるお客様」“ばかり”を過度に追うとリスクが高い……という命題が証明された感があります。それよりも、日本国内に眠っている「シニア層」をターゲットにする方がより安定的な集客を見込める、と改めて実感された方も多いのではないでしょうか。
では、そのシニア市場に対して、どのような対処をすればよいのか。バリアフリーの施設にするのか、シニア向けの料理を開発するのか、シニアコミュニティーにアプローチするのかなど、多々実験的な取り組みが行われています。
ただ、「シニアだから、こうだ」という論理は通用しません。シニアにも「幅」があるのです。一例でいうと料理。シニア向けの料理といって、「イモやかぼちゃ、五穀米などの健康に良い料理」を旅館側が考え提供しても、当のご本人たちにとっては「戦争の記憶(貧しい時代に食べた記憶)があるので、好ましくない」という話はよく聞きます。
旅館側が天ぷらは油ものだからあえて出さない、としても「旅館に来たら天ぷらはでるだろう」ともいわれてしまいます。逆に上記のような取り組みがピッタリとハマリ「こんなプラン待ってたんだよ」とおっしゃってご満足されてお帰りになるケースもあります。
群馬県老神温泉「仙郷」様で、「【60歳以上の方はお得!】ありがとう。シニアプラン!」を造成いただきました。プランの特徴として、通常料金よりもお得で可能な限り、エレベーターに近いお部屋をご用意(露天風呂付客室を除く)、ご希望によりお部屋に高座椅子ご用意、ご希望によりベッド(2床限定)手配というもの。さらに、「ご予約について」の文章に、「60歳以上のお客様が1名様以上でお申し込みください。
(例)お父様63歳、お母様58歳、娘様35歳の計3名様でのお申込みなどはOKです♪」と記載いただきました。
ポイントは「あなたのことを気遣いますよ」というPRと、「3名以上で予約してね」ということです。あえて、年齢制限を設け、予約可能例も記載しました。年齢の高い親子(家族)旅行を狙ったのです。本プラン販売開始後、ご両親と息子さんか娘さんという単位での予約が増えてきた、という嬉しいご報告もいただいております。ただ、このプランがすべてのシニアの方のニーズを満たしているプランだとは到底考えていません。
しかし、「シニア市場の“ある層”にはウケル」ということが判明しましたので、今後もプランのブラッシュアップを進めたいと考えております。