全国を出張していると、1人旅らしき人を新幹線や飛行機の中でよく見かけます。旅館への1人旅というと、以前は受け入れを敬遠される宿が多かったと聞いています。ただ最近では、その発想自体がまったくの時代錯誤になっています。
当社のクライアント旅館で1人旅を受け入れている旅館は、すでに相当数の宿泊実績があります。宿に話を聞くと、「1人旅のお客様は、本当によく追加料理オプションを頼んでいただきます」とか、「1人旅のお客様なのに、おひとりで相当お飲みになってありがたいです」というように、1人旅への評判は上々です。
リアルエージェントのスペシャルプランでは、「2名1室でご宿泊されるお客様」というプランよりも、「1人旅のお客様」が泊る方が、総消費単価が高いというケースも多々あるそうです。しかも年齢層は幅広く、20―70代まで多様化してきています。
そんななか、「新潟・岩室温泉 自家源泉の宿 富士屋」では、多様な1人旅の企画を造成し、宿泊客より好評を得ています。富士屋にはシングルルームやツインルームなどがあり、それらの客室を、「温泉でのんびりしませんか。がんばる女性の1人旅」や「1泊朝食付きプラン~自家源泉の温泉でご湯っくり~」「働きマン応援ぷらん 体にやさしい朝食ブッフェ付」など1人旅でも属性の違うお客様向けにアレンジした宿泊プランを販売しています。
女性向けの1人旅では、プラン内容にエステの記述を入れ、スタンダードな1泊朝食付1人旅では朝食の自慢を強調しました。
ビジネス向けの1人旅プランでは、大浴場の営業時間を明記し、早朝に出発する場合には、通常朝食に変わって、おにぎり弁当を用意するなど配慮しています。それぞれの客層が「あったらいいな」スをプランにしています。
これによって1人利用のお客様が、「この旅館は1人旅のお客に対し、ウェルカムなんだ」と安心して予約してもらえます。
旅館側としても繁忙日などは、料金を高くしたり、受け入れそのものを止めたりして、経営としての利益は求めていってよいものと考えます。
紹介した事例は、シングルやツインの部屋タイプですが、和室や露天風呂付き客室でも、1人旅プランを造成しているケースがあります。
とくに1人で露天風呂付き客室に泊ると、その旅館の2名1室料金よりも、はるかに高い料金設定になってしまいますが、「1人で露天風呂付き客室に泊ろう」と思って予約するお客様にとって「値段」は検討材料にならないようです。
「うちの旅館は2名1室以上で365日満室になる」という場合、1人旅プランの造成は必要ありませんが、平日に2名1室料金を下げざるを得ない、という状況に陥っている場合、価値ある1人旅プランを検討してみてもよいのではないでしょうか?