地球温暖化問題や東日本大震災以降の電力状況のひっ迫も加わり、国民の「エコ」への意識は非常に高まっています。国が推進するスーパークールビズへの認知も広がり、この時期、新幹線や飛行機に乗っても、ネクタイ姿の人に出会うことは、年々減ってきているように思います。
きちっと背広を着て、クーラーを最高に効かせた環境で仕事をすること事態が、いまや社会通念上は許されないような環境になってきています。
そういうなか、旅館業でもエコを取り入れた企画プランが好調です。世界自然遺産「知床」に近い宿・しれとこ村つくだ荘では、世界自然遺産「知床」の自然を守ろう、という宿泊プランを造成しています。
「ちょっぴりガマンをしていただく代わりに、特典の付いたエコプラン」というのが宣伝文句です。内容は「歯ブラシ」は付かない。チェックアウト時間は、早めにして電気代を削減するため、通常午前10時を9時に設定。そのことに協力いただいた御礼として、ちょっぴりプレンゼントを付ける、というものです。ただ、販売単価はスタンダード料金で、値下げなどは行っていません。
旅館やホテルに泊る理由として、日常生活を忘れ、ゆっくり過ごすのが目的なので「エコ意識」などお客様に持っていただくことは良くない、という意見も片方ではあると思います。
ただ、東日本大震災以降、明らかにお客様の「エコ」に対する認識が変わってきており、チェックイン時に部屋に電気を付けていたらお客様から「もったいない!こんな時代に何を考えているの」というお叱りを受ける。部屋にペーパータオルを置いていたら「エコじゃないから、普通のタオル持ってきて」と注文を受けた、という話を全国で聞くようになりました。少々大袈裟かもしれませんが、「旅行」という非日常の中でも、守るべき自分のスタンスは崩さない、というお客様が増えてきていることは間違いありません。知床の「しれとこ村」でも、販売当初は「お客様に不便を強いるプランが果たして売れるだろうか」と懐疑的な想いで販売をスタートされましたが、予想以上の売れ行きに驚いておられます。
世界自然遺産の「知床」という観光地ならではのエコツーリズムの意識が、予想以上の成果に結びついた一因でしょうが、そういったエコが基本の観光地に「エコプラン」があることにより、お客様が「コレだ!」と思ってご予約いただいたケースもあるかと思います。
この旅館のケース以外でも、チェックイン時部屋の電気を消す、チェックイン時のクーラーを消す代わりに「特典」を付けるというエコプランも販売は好調です。
日本で昔からいわれた「もったいない」という精神文化を、今風にアレンジしたエコプランは、宿泊産業に対する好印象を広く認知させるためにも、もっと広がってもらいたいものです。