• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2019年11月05日

    2013年7月11日 宿泊産業もエコの時代へ

    地球温暖化問題や東日本大震災以降の電力状況のひっ迫も加わり、国民の「エコ」への意識は非常に高まっています。国が推進するスーパークールビズへの認知も広がり、この時期、新幹線や飛行機に乗っても、ネクタイ姿の人に出会うことは、年々減ってきているように思います。

    きちっと背広を着て、クーラーを最高に効かせた環境で仕事をすること事態が、いまや社会通念上は許されないような環境になってきています。

    そういうなか、旅館業でもエコを取り入れた企画プランが好調です。世界自然遺産「知床」に近い宿・しれとこ村つくだ荘では、世界自然遺産「知床」の自然を守ろう、という宿泊プランを造成しています。

    「ちょっぴりガマンをしていただく代わりに、特典の付いたエコプラン」というのが宣伝文句です。内容は「歯ブラシ」は付かない。チェックアウト時間は、早めにして電気代を削減するため、通常午前10時を9時に設定。そのことに協力いただいた御礼として、ちょっぴりプレンゼントを付ける、というものです。ただ、販売単価はスタンダード料金で、値下げなどは行っていません。

    旅館やホテルに泊る理由として、日常生活を忘れ、ゆっくり過ごすのが目的なので「エコ意識」などお客様に持っていただくことは良くない、という意見も片方ではあると思います。

    ただ、東日本大震災以降、明らかにお客様の「エコ」に対する認識が変わってきており、チェックイン時に部屋に電気を付けていたらお客様から「もったいない!こんな時代に何を考えているの」というお叱りを受ける。部屋にペーパータオルを置いていたら「エコじゃないから、普通のタオル持ってきて」と注文を受けた、という話を全国で聞くようになりました。少々大袈裟かもしれませんが、「旅行」という非日常の中でも、守るべき自分のスタンスは崩さない、というお客様が増えてきていることは間違いありません。知床の「しれとこ村」でも、販売当初は「お客様に不便を強いるプランが果たして売れるだろうか」と懐疑的な想いで販売をスタートされましたが、予想以上の売れ行きに驚いておられます。

    世界自然遺産の「知床」という観光地ならではのエコツーリズムの意識が、予想以上の成果に結びついた一因でしょうが、そういったエコが基本の観光地に「エコプラン」があることにより、お客様が「コレだ!」と思ってご予約いただいたケースもあるかと思います。

    この旅館のケース以外でも、チェックイン時部屋の電気を消す、チェックイン時のクーラーを消す代わりに「特典」を付けるというエコプランも販売は好調です。

    日本で昔からいわれた「もったいない」という精神文化を、今風にアレンジしたエコプランは、宿泊産業に対する好印象を広く認知させるためにも、もっと広がってもらいたいものです。

    バックナンバー
  • Vol.64 9月1・11日号 V-RESASを活用してのマーケティング
  • Vol.63 2021年7月11日号 行政の宿泊補助事業を活用した事例
  • Vol.62 2021年5月11・21日合併号 コロナ禍におけるアニバーサリー需要
  • Vol.61 2021年3月11日 前向きなビジネスホテルの事例に学ぶ
  • Vol.60 2021年1月11・21日 経済活動にブレーキが掛かる前提での経営
  • Vol.59 2020年11月11日 地域共通クーポン狂騒曲
  • Vol.58 2020年9月11日  Go Toトラベルを前向きにとらえよう
  • Vol.57 2020年7月11日 現実的な新型コロナ対策ステージへの移行
  • Vol.56 2020年5月11・21日 マイカー旅行プラン
  • Vol.55 2020年3月11日 東京五輪対策プラン
  • Vol.54 2020年1月11日 外部評価を宿泊プランに組み込む
  • Vol.53 2019年11月11日 トーマス・クック社、破綻の意味
  • Vol.52 2019年9月11日 広告の注意点
  • Vol.51 2019年7月11日 消費増税・東京五輪に向けて
  • Vol.50 2019年5月11日 外国人観光客に対するマナー啓発
  • Vol.49 2019年3月11日 見直そう、親子旅マーケット
  • Vol.48 2019年1月11日 2019年度GW対策
  • Vol.47 2018年11月11日 体験に勝る解決法なし
  • Vol.46 2018年9月11日 地域の現状のツタエカタ
  • Vol.45 2018年7月11日 キャンセル率の検証
  • Vol.44 2018年4月11日 タブレット対応HPは必須か?
  • Vol.43 2018年3月11日 少ない時間働く文化を作る
  • Vol.42 2018年1月11日 タリフの更新作業の生産性検証
  • Vol.41 2017年11月11日 予約確認電話の必要性
  • Vol.40 2017年9月11日 旅館の1泊2食は悪なのか?
  • Vol.38 2017年5月11日 歴史のチカラを商品に
  • Vol.37 2017年3月11日 キャンセルポリシーの見直し
  • Vol.36 2017年1月11日 リアルエージェントとの付き合い方
  • Vol.35 2016年11月11日 ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど
  • Vol.34 2016年9月11日 デポジットと事前カード決済
  • Vol.33 2016年7月11日 予約リードタイムの長期化
  • Vol.32 2016年5月11日 他館との連携プラン
  • Vol.31 2016年3月11日 好調時こそ、次を見据えよう
  • Vol.30 2016年1月11日 料理とお酒マリアージュプラン
  • Vol.29 2015年11月11日 人材獲得のために
  • Vol.28 2015年9月11日 旅館の売店の優位性
  • Vol.27 2015年7月11日 調理人の負担が少ない料理プラン
  • Vol.26 2015年5月11日 アドバンスパーチェスプラン
  • Vol.25 2015年3月11日 プラン造成は最大の販売促進
  • Vol.24 2015年1月11日 ベジタリアン料理の可能性
  • Vol.23 2014年11月11日 OTAも選別の時代へ
  • Vol.22 2014年9月11日 USJの成功は魔法ではない
  • Vol.21 2014年6月11日 地域観光資源の効果的な売り方
  • Vol.20 2014年5月11日 宿のインバウンド対策とは?
  • Vol.19 2014年4月11日 業界の流れを活かした施策を
  • Vol.18 2014年3月11日 ネット予約におもてなしの心を
  • Vol.17 2014年2月11日 風習を企画に
  • Vol.16 2014年1月11日 おもてなしは商品である
  • Vol.15 2013年12月11日・21日合併号 真っ当な表示がウリに?
  • Vol.14 2013年11月11日 Webでも団体受注を!
  • Vol.13 2013年10月11日 1人旅プラン、静かに浸透中
  • Vol.12 2013年9月11日 スタンダードプランは大切に
  • Vol.11 2013年8月11日・21日合併号 アクティビティは詳細表記
  • Vol.10 2013年7月11日 宿泊産業もエコの時代へ
  • Vol.09 2013年6月11日 直前予約の締め切り時間
  • Vol.08 2013年5月11日・21日合併号 需要高い「マグロ」プラン
  • Vol.07 2013年4月11日 赤ちゃん連れ旅行に着目
  • Vol.06 2013年3月11日 料理長との会話も商品
  • Vol.05 2013年2月11日 信仰や風習を取り入れる
  • Vol.04 2013年1月11日・21日合併号 “食事制限”も工夫で開拓
  • Vol.03 2012年12月11日・21日合併号 シニア市場の攻略
  • Vol.02 2012年11月11日 量より質のチカラ
  • Vol.01 2012年10月21日 誰もが喜ぶ企画力を