ハイキングやアクティビティができる宿(そういうスポットが近くにある宿)が人気です。LCC(格安航空会社)に乗ると、リュックサックを持った中高年の「個人」の群れをよく見かけます。
以前のように添乗員の旗についていく、募集型旅行客を見ることは少なくなりました。本当に個人が自由に旅行する時代になったと思うものです。
ただ、ハイキングやアクティビティ系の体験は、お客様への伝え方が難しい商品です。送迎や観光付のプランにしてしまうと、旅行業法に抵触する可能性もありますし、事故などの保険対応も頭に入れておかなければなりません。
しかし、公式ホームページなどで「アクティビティができる」と表現するだけでは、お客様に伝わらないケースもあります。
兵庫県淡路島の「淡路島海上ホテル」では、釣場まで徒歩5秒という地の利を生かした、「ホテル目の前で釣り三昧プラン」が人気です。
このホテルは目の前に桟橋があり、そこで宿泊客が釣りをできるようになっていましたが、チェックインした後のお客様から「釣りができるのであれば教えてほしかった」という声がよくあがっていたそうです。ホテルの公式ホームページには、桟橋で釣りができることをうたっていましたが、プランばかり見ているお客様が多く、ホームページに釣り情報を掲載するだけではうまく伝わっていませんでした。
そこで釣りプランを造成したところ、このプランでの予約が一気に増えたということです。プラン内容は、ホテルより5秒で行ける「目の前の桟橋」で、釣りができる宿泊プランであること。毎週1回、ホテルスタッフが撒き餌でお魚を集めているので、「よく釣れる」と評判であること。さらにリピーター客にも大人気であることを伝えるというものです。
特典として、①釣りセット(さお・エサ・仕掛け)800円相当を無料サービス②釣った魚の料理代(通常500―2千円)を無料サービス③大型魚を釣り上げた場合、希望に応じて公式ホームページ&宿の釣掲示板に掲載する――という内容になっています。
さらに、自宅からクーラーボックスを持参すれば、釣った魚を持ち帰ることもでき、朝釣りもOKです。ホームページには、宿泊客が朝の5時台から朝釣りを楽しんでいるという、ホテルスタッフの目撃情報も掲載しました。
ここまで詳しく内容を掲載したことで、予約いただくお客様も釣りという行動をイメージしやすいのか、本プランは販売開始以来、息の長いヒット商品になっています。
釣りに限らず、ハイキングもアクティビティも旅行動機の重要な要素です。体系的に宿のホームページなどに情報を整理すると共に、お客様の目につく「プラン」のなかにそれらの情報を付加したプランを造成することも、販売増加やPRに効果的です。