先日ある旅館で「たくさんプランがあるなかで、なぜうちの旅館はスタンダードプランが一番良く売れるのでしょう」という質問を受けました。
旅館を利用するお客様の年齢層も高く、1人当たりの平均単価が2万円を超える旅館です。当社のクライアント施設のなかで、このような属性の旅館ではたくさんプランを作ってもスタンダートプランで予約するお客様が多いことも確かです。
では、他のプランに魅力がないのか、というとそうではありません。「色々あってよく分からないが、この旅館に行きたいので、とりあえず基本プランで予約する」という心理が働いているものと思います。
例えばコーヒー店のスターバックスでは、ラテやフラペチーノなどたくさん種類がありますが、注文する人のほとんどは「本日のコーヒー(普通のコーヒー)」です。
ハンバーガー店のマクドナルドでも、ビックマックやチーズバーガーなどの定番商品に加え、期間限定商品なども投入していますが、やはり「ハンバーガーで」という注文がされています。
お子様セットの商品は「ハンバーガー」+「ジュース」+「おもちゃ」で、この「ハンバーガー」がシーズン限定の特別なハンバーガーであったことは見たことがありません。
「飲食店と旅館の商材は違う」と思われるかもしれませんが、本質は同じところにあります。
仮に、スターバックスの商品が「本日のコーヒー」のみ、マクドナルドの商品が「ハンバーガー」のみであったなら、あれほどの繁盛ぶりはなかったことでしょう。
つまり、たくさんの商品があり「行ってみよう」と思うが、注文するのは無難なスタンダード商品、というお客様が日本人には多いのです。年齢層が上がるほど、その傾向は強くなるようです。
それゆえ「スタンダードプランばかり売れる」ということを悲観することはありません。逆に、その旅館の「基本」がお客様に評価されていると認識すべきです。
事実、同じ日に安売りプランが出ていても、なぜか単価の高いスタンダードプランをお客様が選ばれるということがあります。「安さには何か訳があるに違いない。だから、基本プランを予約しよう」と考えるお客様を集客できているので、結果は良し、とすべきでしょう。
ただ、「スタンダードプランしか売れないから、その他のプランは作る意味がない」というわけではなく、スターバックスやマクドナルドと同様に、商品で「魅せる」ことも重要です。
また、多様なお得プランを展開していても、「基本」が分からなければ、その「良さ」もわかりません。
基本料金が不明確のまま、「お得だ」と言われても検証のしようがありません。
宿の「基本プラン」が、キチンと機能しているかどうかについても、この機会に検証されることをオススメします。