2020年東京五輪開催を後押しした一言「おもてなし」。流行語大賞にも選ばれ、「おもてなし」という言葉がありとあらゆるところで見受けられます。本コラムをご覧の皆様の多くが、日々のおもてなしに精進されておられるかと思います。 ただ、「おもてなし」というと、心の側面ばかりに気を取られ、「おもてなし」と「成果」を同列に語ることがタブー視されていることも確かです。
「おもてなし」は「成果」と切り離して実施しなければならないという間違った認識が半ば常識化しています。客をもてなし、感謝されるだけで満足することなく、日々の経営に落とし込んで「成果」につなげなければ、「おもてなし」を継続することはできません。この場合の成果とは集客であり、リピーターのお客様の創造です。また、「おもてなし」をマーケティングにつなげなければならないのと同時に、「おもてなし」は自館の「商品」であることを認識する必要があります。
今の世の中、良いものはすぐに真似をされます。事実、当社のクライアント旅館で企画したネットプランなどは、多くの旅館に真似をされています。お客様との接点として重要なホームページもすぐに真似をされ、施設も良いものはどんどんと真似をされます。ただ、「人を介在したおもてなし」を真似することは不可能です。「おもてなし」とは目に見えない事象も多く含むので、簡単に真似をされることはありません。「おもてなしを追求していくことは非効率」と、考える方もいるかもしれませんが、非効率であるがゆえに簡単に真似されることなく、「おもてなし」の精神が館内に浸透し、マーケティングと一致したときには絶大な効果を得ることができます。
真面目に旅館経営をされている方ほど、お客様が減ってきているのは「自館のおもてなしが不十分だから」と考え、自館の見直しばかりに注力されるケースが多くあります。実際に「おもてなし」の改善が必要な場合もありますが、自館の良さがお客様に届いていないために、集客ができていないというケースも多々あります。
大切なことは「おもてなし」をぼやっとした心の話ではなく、お客様に伝わる「商品」にすることです。
当社のクライアント旅館である飛騨高山の本陣平野屋「花兆庵」&「別館」は両館合わせて55室の旅館ですが、年間平均客室稼働率90%を超え、年商11億円(内ネット売上2・8億円超)を誇っておられます。JTBの評価は17年連続90点以上、さらにネットエージェント口コミも常に満点に近い評価を得るなど「おもてなし」に優れた旅館ですが、「おもてなし」と「マーケティング」の融合がうまく機能しており、「成果」につながっているのです。
2月に、本陣平野屋の女将さんもご講演いただくセミナーを開きますので、「おもてなし」を「成果」につなげようとお考えの施設様はぜひご参加くださいませ。