• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2019年11月05日

    2014年1月11日 おもてなしは商品である

    2020年東京五輪開催を後押しした一言「おもてなし」。流行語大賞にも選ばれ、「おもてなし」という言葉がありとあらゆるところで見受けられます。本コラムをご覧の皆様の多くが、日々のおもてなしに精進されておられるかと思います。 ただ、「おもてなし」というと、心の側面ばかりに気を取られ、「おもてなし」と「成果」を同列に語ることがタブー視されていることも確かです。

    「おもてなし」は「成果」と切り離して実施しなければならないという間違った認識が半ば常識化しています。客をもてなし、感謝されるだけで満足することなく、日々の経営に落とし込んで「成果」につなげなければ、「おもてなし」を継続することはできません。この場合の成果とは集客であり、リピーターのお客様の創造です。また、「おもてなし」をマーケティングにつなげなければならないのと同時に、「おもてなし」は自館の「商品」であることを認識する必要があります。

    今の世の中、良いものはすぐに真似をされます。事実、当社のクライアント旅館で企画したネットプランなどは、多くの旅館に真似をされています。お客様との接点として重要なホームページもすぐに真似をされ、施設も良いものはどんどんと真似をされます。ただ、「人を介在したおもてなし」を真似することは不可能です。「おもてなし」とは目に見えない事象も多く含むので、簡単に真似をされることはありません。「おもてなしを追求していくことは非効率」と、考える方もいるかもしれませんが、非効率であるがゆえに簡単に真似されることなく、「おもてなし」の精神が館内に浸透し、マーケティングと一致したときには絶大な効果を得ることができます。

    真面目に旅館経営をされている方ほど、お客様が減ってきているのは「自館のおもてなしが不十分だから」と考え、自館の見直しばかりに注力されるケースが多くあります。実際に「おもてなし」の改善が必要な場合もありますが、自館の良さがお客様に届いていないために、集客ができていないというケースも多々あります。

    大切なことは「おもてなし」をぼやっとした心の話ではなく、お客様に伝わる「商品」にすることです。

    当社のクライアント旅館である飛騨高山の本陣平野屋「花兆庵」&「別館」は両館合わせて55室の旅館ですが、年間平均客室稼働率90%を超え、年商11億円(内ネット売上2・8億円超)を誇っておられます。JTBの評価は17年連続90点以上、さらにネットエージェント口コミも常に満点に近い評価を得るなど「おもてなし」に優れた旅館ですが、「おもてなし」と「マーケティング」の融合がうまく機能しており、「成果」につながっているのです。

    2月に、本陣平野屋の女将さんもご講演いただくセミナーを開きますので、「おもてなし」を「成果」につなげようとお考えの施設様はぜひご参加くださいませ。

    バックナンバー
  • Vol.64 9月1・11日号 V-RESASを活用してのマーケティング
  • Vol.63 2021年7月11日号 行政の宿泊補助事業を活用した事例
  • Vol.62 2021年5月11・21日合併号 コロナ禍におけるアニバーサリー需要
  • Vol.61 2021年3月11日 前向きなビジネスホテルの事例に学ぶ
  • Vol.60 2021年1月11・21日 経済活動にブレーキが掛かる前提での経営
  • Vol.59 2020年11月11日 地域共通クーポン狂騒曲
  • Vol.58 2020年9月11日  Go Toトラベルを前向きにとらえよう
  • Vol.57 2020年7月11日 現実的な新型コロナ対策ステージへの移行
  • Vol.56 2020年5月11・21日 マイカー旅行プラン
  • Vol.55 2020年3月11日 東京五輪対策プラン
  • Vol.54 2020年1月11日 外部評価を宿泊プランに組み込む
  • Vol.53 2019年11月11日 トーマス・クック社、破綻の意味
  • Vol.52 2019年9月11日 広告の注意点
  • Vol.51 2019年7月11日 消費増税・東京五輪に向けて
  • Vol.50 2019年5月11日 外国人観光客に対するマナー啓発
  • Vol.49 2019年3月11日 見直そう、親子旅マーケット
  • Vol.48 2019年1月11日 2019年度GW対策
  • Vol.47 2018年11月11日 体験に勝る解決法なし
  • Vol.46 2018年9月11日 地域の現状のツタエカタ
  • Vol.45 2018年7月11日 キャンセル率の検証
  • Vol.44 2018年4月11日 タブレット対応HPは必須か?
  • Vol.43 2018年3月11日 少ない時間働く文化を作る
  • Vol.42 2018年1月11日 タリフの更新作業の生産性検証
  • Vol.41 2017年11月11日 予約確認電話の必要性
  • Vol.40 2017年9月11日 旅館の1泊2食は悪なのか?
  • Vol.38 2017年5月11日 歴史のチカラを商品に
  • Vol.37 2017年3月11日 キャンセルポリシーの見直し
  • Vol.36 2017年1月11日 リアルエージェントとの付き合い方
  • Vol.35 2016年11月11日 ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど
  • Vol.34 2016年9月11日 デポジットと事前カード決済
  • Vol.33 2016年7月11日 予約リードタイムの長期化
  • Vol.32 2016年5月11日 他館との連携プラン
  • Vol.31 2016年3月11日 好調時こそ、次を見据えよう
  • Vol.30 2016年1月11日 料理とお酒マリアージュプラン
  • Vol.29 2015年11月11日 人材獲得のために
  • Vol.28 2015年9月11日 旅館の売店の優位性
  • Vol.27 2015年7月11日 調理人の負担が少ない料理プラン
  • Vol.26 2015年5月11日 アドバンスパーチェスプラン
  • Vol.25 2015年3月11日 プラン造成は最大の販売促進
  • Vol.24 2015年1月11日 ベジタリアン料理の可能性
  • Vol.23 2014年11月11日 OTAも選別の時代へ
  • Vol.22 2014年9月11日 USJの成功は魔法ではない
  • Vol.21 2014年6月11日 地域観光資源の効果的な売り方
  • Vol.20 2014年5月11日 宿のインバウンド対策とは?
  • Vol.19 2014年4月11日 業界の流れを活かした施策を
  • Vol.18 2014年3月11日 ネット予約におもてなしの心を
  • Vol.17 2014年2月11日 風習を企画に
  • Vol.16 2014年1月11日 おもてなしは商品である
  • Vol.15 2013年12月11日・21日合併号 真っ当な表示がウリに?
  • Vol.14 2013年11月11日 Webでも団体受注を!
  • Vol.13 2013年10月11日 1人旅プラン、静かに浸透中
  • Vol.12 2013年9月11日 スタンダードプランは大切に
  • Vol.11 2013年8月11日・21日合併号 アクティビティは詳細表記
  • Vol.10 2013年7月11日 宿泊産業もエコの時代へ
  • Vol.09 2013年6月11日 直前予約の締め切り時間
  • Vol.08 2013年5月11日・21日合併号 需要高い「マグロ」プラン
  • Vol.07 2013年4月11日 赤ちゃん連れ旅行に着目
  • Vol.06 2013年3月11日 料理長との会話も商品
  • Vol.05 2013年2月11日 信仰や風習を取り入れる
  • Vol.04 2013年1月11日・21日合併号 “食事制限”も工夫で開拓
  • Vol.03 2012年12月11日・21日合併号 シニア市場の攻略
  • Vol.02 2012年11月11日 量より質のチカラ
  • Vol.01 2012年10月21日 誰もが喜ぶ企画力を