先日、あるクライアント旅館での会議中に出た話です。この旅館とは10年近くのお付き合いで、毎月現地を訪れています。元々、日々精進されている素晴らしいおもてなしと、積極的な営業姿勢により、年間稼働率が 90%に迫り、これ以上 売りたくとも「売る部屋がない」という状況になってしまっています。
その旅館では、自社ホームページを含むネット販売を強化し、ネットエージェント(OTA)ごとに多少の価格差はあれど、365日、空いている部屋があればサイトコントローラーを使い「平等に」部屋を提供していました。
ネット販売において、多くの「売り場」をシステムの力で開拓するのはアクセスアップに繋がるので、その戦略は間違っていません。しかし、長年その戦略を続けていると、どうしても「偏り」が出てしまいます。ここで言う「偏り」とは、「平日も多く販売しているOTAがある反面、休前日などの特定日しか売れていないOTAも存在する」ということです。
この旅館にとって、休前日は放っておいても売れるので、その特定日のみに予約が集中するOTAの存在は、部屋をブロックして、特定日しか販売できないリアルエージェントと同程度の価値しかありません。つまり「平日にどの程度売ってくれるのか」が重要な要素となります。(「売ってくれる」と他力本願的な言い方をしましたが、前提条件として魅力的なプラン造成などの宿側の企業努力が存在します)。
さらに、OTAのなかでも売り上げ構成比を高く占めるサイトで上位検索されるために、「売上」の要素が多くなってきています。休前日などの特定日しか売れないOTAで貴重な部屋を売るのであれば、売上構成比の高いOTAや自社HPで「売りやすい日(部屋)」を売り、さらなる増売と利益向上を考えていくのは自明の理です。この旅館では、サイトコントローラーのシステムも活用し「平日に多くの送客をしているサイト」に優先的に「売れる日(特定日)」を売るという施策を行うことを決めました。
自社HPと売り上げ構成比率が高いOTAには、「売れる日(特定日)」にも部屋を出しますが、それ以外の貢献度が低いサイトについては、平日(売りにくい日)しか部屋提供をしないという「戦術」を取っていくということです。
さらに、この機会に「もう一度、リアルエージェントの客室提供を見直し、それによって取引をやめるケースも厭わない」という結論に達しました。リアルエージェントの客室提供を見直し、ネットに部屋を出すというのは既に当たり前になっていますが、ここにきて「OTAのなかでも優先順位をつける」という施策を考える時期に来ています。
媒体ごとの「平日貢献度」を検証すると、また新しい施策が見えてきますので、一度検証されてみることをオススメいたします。