• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2019年11月05日

    2014年3月11日 ネット予約におもてなしの心を

    皆様の宿の公式(自社)ホームページには、予約をされたお客様へうかがうヒアリング項目を設けていますでしょうか?

    当社のクライアント旅館の場合は、予約フォームの備考欄で、①苦手な食材(アレルギーなど)②旅行の目的(夫婦&カップル、家族旅行、友人、その他)③同館HPまで辿り着いたきっかけ(知人紹介、雑誌、ガイドブック、旅行会社のパンフ、予約サイトなど)―― などを聞いてもらっています。インターネット予約は「部屋の自動販売機」と言う方もいらっしゃいますが、単純に手間をかけず、ただの自動販売機化してしまうと、大手ネットエージェントの資本力には到底かないません。

    インターネット予約はできるだけ「効率化を求めなければならない」という命題と「事前のおもてなし」という二律背反の事象を突き詰めていかなければなりません。いわば、インターネットというツールにも“おもてなしの心”を入れていく必要があるのです。

    お客様に事前に質問する意図は、「そのお客様が宿へどのような目的で来たのかを事前にできるだけ把握し、最高の時間を宿で過ごしていただくためのお手伝いをする」ということにあります。また、③の項目は、「数多くの宿があるなかで、どんなキッカケで当館を認識、発見していただいたのか」を把握するために設けていただきました。

    ③の項目で以外と多い回答が「大手旅行会社のパンフレットを見て」や「大手旅行会社のアンケートで評価が高かったため」というものです。これらのこ とからも、お客様のリアルな「動き」が宿側にも認識でき、マーケティング活動を行ううえで非常に参考になります。

    さらに②の項目の回答は本当に多岐にわたります。「宿側が大した観光地ではないと認識していた場所への訪問」や「子供が高校に入学する前の旅行」、さらには「103歳の父のショートステイの予約が取れ、以前から行きたがっていた宿に泊まる」など、お客様が宿に求めていることの多様性が見てとれます。最近、老老介護(高齢者が高齢者の介護をせざるをえない状況)というネガティブなワードが散見されますが、老老旅行(高齢者といわれている方々が、さらに高齢の方と旅行に行く)と聞けば、何だかほほ笑ましく感じてしまいます。

    また、最近当社のクライアント旅館の状況を見ても明らかに増えているのが「贈る旅」です。自分で宿に行くわけではないけれども、両親やお世話になった方に旅を贈りたいというギフトのニーズも高まってきています。

    ただ、そういったお客様のご要望をただ右から左に流すだけでは、お客様に感動を与えることも、新しい提案をすることもできません。「ご予約いただいたお客様のご要望を事前に詳しく聞く」ということが、他社との差別化のキーポイントになっていく時代になるでしょう。

    バックナンバー
  • Vol.64 9月1・11日号 V-RESASを活用してのマーケティング
  • Vol.63 2021年7月11日号 行政の宿泊補助事業を活用した事例
  • Vol.62 2021年5月11・21日合併号 コロナ禍におけるアニバーサリー需要
  • Vol.61 2021年3月11日 前向きなビジネスホテルの事例に学ぶ
  • Vol.60 2021年1月11・21日 経済活動にブレーキが掛かる前提での経営
  • Vol.59 2020年11月11日 地域共通クーポン狂騒曲
  • Vol.58 2020年9月11日  Go Toトラベルを前向きにとらえよう
  • Vol.57 2020年7月11日 現実的な新型コロナ対策ステージへの移行
  • Vol.56 2020年5月11・21日 マイカー旅行プラン
  • Vol.55 2020年3月11日 東京五輪対策プラン
  • Vol.54 2020年1月11日 外部評価を宿泊プランに組み込む
  • Vol.53 2019年11月11日 トーマス・クック社、破綻の意味
  • Vol.52 2019年9月11日 広告の注意点
  • Vol.51 2019年7月11日 消費増税・東京五輪に向けて
  • Vol.50 2019年5月11日 外国人観光客に対するマナー啓発
  • Vol.49 2019年3月11日 見直そう、親子旅マーケット
  • Vol.48 2019年1月11日 2019年度GW対策
  • Vol.47 2018年11月11日 体験に勝る解決法なし
  • Vol.46 2018年9月11日 地域の現状のツタエカタ
  • Vol.45 2018年7月11日 キャンセル率の検証
  • Vol.44 2018年4月11日 タブレット対応HPは必須か?
  • Vol.43 2018年3月11日 少ない時間働く文化を作る
  • Vol.42 2018年1月11日 タリフの更新作業の生産性検証
  • Vol.41 2017年11月11日 予約確認電話の必要性
  • Vol.40 2017年9月11日 旅館の1泊2食は悪なのか?
  • Vol.38 2017年5月11日 歴史のチカラを商品に
  • Vol.37 2017年3月11日 キャンセルポリシーの見直し
  • Vol.36 2017年1月11日 リアルエージェントとの付き合い方
  • Vol.35 2016年11月11日 ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど
  • Vol.34 2016年9月11日 デポジットと事前カード決済
  • Vol.33 2016年7月11日 予約リードタイムの長期化
  • Vol.32 2016年5月11日 他館との連携プラン
  • Vol.31 2016年3月11日 好調時こそ、次を見据えよう
  • Vol.30 2016年1月11日 料理とお酒マリアージュプラン
  • Vol.29 2015年11月11日 人材獲得のために
  • Vol.28 2015年9月11日 旅館の売店の優位性
  • Vol.27 2015年7月11日 調理人の負担が少ない料理プラン
  • Vol.26 2015年5月11日 アドバンスパーチェスプラン
  • Vol.25 2015年3月11日 プラン造成は最大の販売促進
  • Vol.24 2015年1月11日 ベジタリアン料理の可能性
  • Vol.23 2014年11月11日 OTAも選別の時代へ
  • Vol.22 2014年9月11日 USJの成功は魔法ではない
  • Vol.21 2014年6月11日 地域観光資源の効果的な売り方
  • Vol.20 2014年5月11日 宿のインバウンド対策とは?
  • Vol.19 2014年4月11日 業界の流れを活かした施策を
  • Vol.18 2014年3月11日 ネット予約におもてなしの心を
  • Vol.17 2014年2月11日 風習を企画に
  • Vol.16 2014年1月11日 おもてなしは商品である
  • Vol.15 2013年12月11日・21日合併号 真っ当な表示がウリに?
  • Vol.14 2013年11月11日 Webでも団体受注を!
  • Vol.13 2013年10月11日 1人旅プラン、静かに浸透中
  • Vol.12 2013年9月11日 スタンダードプランは大切に
  • Vol.11 2013年8月11日・21日合併号 アクティビティは詳細表記
  • Vol.10 2013年7月11日 宿泊産業もエコの時代へ
  • Vol.09 2013年6月11日 直前予約の締め切り時間
  • Vol.08 2013年5月11日・21日合併号 需要高い「マグロ」プラン
  • Vol.07 2013年4月11日 赤ちゃん連れ旅行に着目
  • Vol.06 2013年3月11日 料理長との会話も商品
  • Vol.05 2013年2月11日 信仰や風習を取り入れる
  • Vol.04 2013年1月11日・21日合併号 “食事制限”も工夫で開拓
  • Vol.03 2012年12月11日・21日合併号 シニア市場の攻略
  • Vol.02 2012年11月11日 量より質のチカラ
  • Vol.01 2012年10月21日 誰もが喜ぶ企画力を