皆様の宿の公式(自社)ホームページには、予約をされたお客様へうかがうヒアリング項目を設けていますでしょうか?
当社のクライアント旅館の場合は、予約フォームの備考欄で、①苦手な食材(アレルギーなど)②旅行の目的(夫婦&カップル、家族旅行、友人、その他)③同館HPまで辿り着いたきっかけ(知人紹介、雑誌、ガイドブック、旅行会社のパンフ、予約サイトなど)―― などを聞いてもらっています。インターネット予約は「部屋の自動販売機」と言う方もいらっしゃいますが、単純に手間をかけず、ただの自動販売機化してしまうと、大手ネットエージェントの資本力には到底かないません。
インターネット予約はできるだけ「効率化を求めなければならない」という命題と「事前のおもてなし」という二律背反の事象を突き詰めていかなければなりません。いわば、インターネットというツールにも“おもてなしの心”を入れていく必要があるのです。
お客様に事前に質問する意図は、「そのお客様が宿へどのような目的で来たのかを事前にできるだけ把握し、最高の時間を宿で過ごしていただくためのお手伝いをする」ということにあります。また、③の項目は、「数多くの宿があるなかで、どんなキッカケで当館を認識、発見していただいたのか」を把握するために設けていただきました。
③の項目で以外と多い回答が「大手旅行会社のパンフレットを見て」や「大手旅行会社のアンケートで評価が高かったため」というものです。これらのこ とからも、お客様のリアルな「動き」が宿側にも認識でき、マーケティング活動を行ううえで非常に参考になります。
さらに②の項目の回答は本当に多岐にわたります。「宿側が大した観光地ではないと認識していた場所への訪問」や「子供が高校に入学する前の旅行」、さらには「103歳の父のショートステイの予約が取れ、以前から行きたがっていた宿に泊まる」など、お客様が宿に求めていることの多様性が見てとれます。最近、老老介護(高齢者が高齢者の介護をせざるをえない状況)というネガティブなワードが散見されますが、老老旅行(高齢者といわれている方々が、さらに高齢の方と旅行に行く)と聞けば、何だかほほ笑ましく感じてしまいます。
また、最近当社のクライアント旅館の状況を見ても明らかに増えているのが「贈る旅」です。自分で宿に行くわけではないけれども、両親やお世話になった方に旅を贈りたいというギフトのニーズも高まってきています。
ただ、そういったお客様のご要望をただ右から左に流すだけでは、お客様に感動を与えることも、新しい提案をすることもできません。「ご予約いただいたお客様のご要望を事前に詳しく聞く」ということが、他社との差別化のキーポイントになっていく時代になるでしょう。