春休みに、フィリピンのセブ島に行ってきました。私が海外に行くときは、飛行機の便が取れないなどの特殊な事情がない限り、旅行会社を介在させず、飛行機もホテルもすべて自分でネットを使い手配します。海外のホテルが、FIT客に対してどのような取り組みをしているのかも体感できますし、何より自分が「予約する」ことで、日本の旅館予約などの参考にできないかを探る意味もあります。
今回もホテルを「アドバンスパーチェス(ADVANCE PURCHASE)」というプランで予約しました。「アドバンスパーチェス(アドバンスペイメント)」とは、JTBの海外旅行用語辞典によると、「ホテルなどの予約時に支払う前払い金。金額や時期など条件は事業者ごとに異なる。早期割引などで請求されることも。ほとんどの場合キャンセルしても返還されない」。要は、通常料金よりも安いけれども、キャンセルや変更はできないというプランです。欧米系の「契約社会」に基づいた考え方で、このプランで予約した段階でクレジットカードの入力が求められ、予約時に宿泊料金が決済される仕組みになっています。
決済されるのは宿泊料金だけで、オプションのSPAや朝食などは現地決済。海外資本のホテルでも、シャングリラグループなどは「アドバンスパーチェス」プランとして、①チェックイン日の7日前までに行った予約に対して適用②予約時にクレジットカードによる全額の前払いが必要③予約のキャンセルや変更の際には、前払い料金の払い戻しはできない――という規約をもとに、「7日前までのご予約で、ベストレートの15%オフ」というプランを販売しています。
「早期予約特典プラン」などを展開している当社クライアント旅館でよく起こるのは、早割プランで申し込んだあとに頻繁に予約変更をし、キャンセル料規定を無視したり、現場オペレーションを混乱させたりするというケースです。
宿側にとっては、早期に部屋を押さえてくれるのでありがたいですが、だからと言って、何もかもをお客様の自由にするという必要性はありません。
そこで、「アドバンスパーチェス」という言葉と考え方を用いて、日本の旅館に合せてこのプランを当社クライアント旅館の何社かに販売いただきましたところ、今のところとくにトラブルの報告はありません。
日本の旅館は、予約のキャンセルや変更に対して、海外のホテルに比べ優しすぎ(甘すぎ)ます。お客様に対して、すべてを「契約だから」と冷たくあしらう必要はありませんが、ある程度の「縛り」は必要です。
インバウンド客が増えていくなか、我われの文化とは違う、常識を超えたお客様との付き合いも今後さらに増えていきますので、単純に海外ホテルの真似をするということではなく、お客様に合わせたプラン展開やオペレーションが必要になってくるでしょう。