先日、あるクライアント旅館の社長から「JTBからいきなり電話があって、来年度からエースパンフレットに掲載できません、と言われてしまいました」という連絡をいただきました。こちらの旅館は一休(キラリトではありません)やじゃらんハイクラス、楽天プレミアムに掲載されているようなハイクオリティーな旅館です。ただ、20室規模の旅館でJTBの値下げ圧力には屈せず、毎年単価を上げる(タリフの料金を上げる)操作をしていただいておりました。
さらにJTBからの一方的な要求にも屈せず、旅館として一本筋をもって経営されてきたので、今回のような事案に発展したものと思われます。
ひと昔前なら「それはマズイですね。何とかパンフレットに残るように働きかけをしましょう」と回答したかもしれませんが、今回は「良かったですね。これで自由に販売できるようになりましたね」とお伝えしました。すると、社長も明るい声で「そうなんですよ。JTBからは電話で○月×日に伺って、前向きな話をさせてもらいたいといわれました」とのことでした。
パンフレット掲載がなくなった時点で、「前向き」でもありませんが、最大限の譲歩で「部屋のブロックではなく、発生手配でお付き合いを続ける」といった程度のものでしょう。
そもそも、この旅館では「インターネットや直販で売れる体制を構築しているので、もうリアルエージェントはいらない。でも、先代からの流れもあるので、旅館側から契約を切ることは躊躇していました」という話でした。ですから、今回の話は経営にはプラスにしか働きません。
この旅館のみならず、たの旅館からも「リアルエージェントとの付き合いはどうしていけばよいでしょう」と質問を受けます。その場合、数字上で判断することをオススメしております。計算式は、在庫提供数×104日(365日×2/7)×同伴係数×客単価で求められた数値と、実際に年間を通じて売れた金額の差異で判断します。※同伴係数:1室に何人泊るか、ということ。多くは2.0人※104日:年間365日のうち、土曜日(1/7)とその他休前日(1/7)が100%埋まったと仮定しての数値。今回のケースではJTBに在庫を3室提供しているので、3在庫×104日×2.0×21,600円=約1347万円となりました。
今回ケースでは、この計算式結果と年間の実際のJTB経由の売り上げがほぼイコールになったことです。つまり、JTBを使わなくとも、自力でこの程度の在庫は売り切れる。これで、1347万円が手数料なし(安く)に、売れる土壌ができ、万々歳の結果です。
中途半端にリアルエージェント経由の売り上げがあり、契約解除に踏み切れない方は、この計算式でリアルエージェントの貢献度を検証し、自館に最適なマーケティングチャネルの構築をオススメします。