弊社クライアントの1月の宿泊指標を分析したとき、特徴的だったのが正月期間の直前キャンセルのため、正月期間にも関らず、部屋が空いていたケースがあったということです。こられの施設に、12月訪問した際は「すでに正月期間の予約は埋まっているので安心ですね」という話をしておりました。
それが、キャンセル料が発生する直前にキャンセルされたケースは想定以上に多く、今回のような結果になってしまいました。もちろん、某旅行会社のように実際のお客様もいない中、ブロック客室に対して、架空の人物による架空予約を繰り返し、結果的に部屋を売り切れない、というケースもあります。
このような悪質な予約形態が一般客に伝播したということではないでしょうが、一般の個人ユーザーの中にも、同じ日に違う旅館を何軒も予約し、直前にキャンセルするという消費行動が目立つようになってきました。
観光地として知名度が高く、予約制限を厳しくしても、繁忙時期なら部屋が埋まりきる、と確信が持てる地域のクライアントには、正月などの繁忙時期に「カード決済限定&予約」した段階で、キャンセル料が100%かかるプラン設計を造成してもらい、確実に泊まれるお客様を確定し、「おもてなし」に注力する体制を構築してもらっています。
宿としては、キャンセル料を徴収することが目的ではありません。ただ、常識を逸したNG客のために、本当にその宿に泊りたいお客様の部屋が無くなってしまうのを回避することこそが大切なのです。
この事案以外にも、「最近直前キャンセルが多くて困っているんです」という話があるクライアント地域の他旅館をリサーチしていると、キャンセルポリシーが以前よりもしっかりと記載されている事案がありました。キャンセルポリシーが緩いがために、旅館にとって好ましくない行為を繰り返すお客様が集まってしまっていたのです。
キャンセルポリシーを厳しくしすぎると、お客様が減ってしまうのではないか、という恐怖は十分に理解できます。マーケットに対して、自館の優位性がどれほどあるのかを考慮しつつ、キャンセルポリシーを強化していかなければなりませんが、繁忙時期など、確実にお客様が泊る時期は「本当に自館に泊まりたい、というお客様が泊れない」という事態が発生しているケースが想定されます。老神温泉の仙郷では、キャンセルポリシーを「通常期」と「特定期」に分け、公式サイトにも次のように明確に記載しています。
※通常:8日以前はキャンセル料は発生いたしません。※特定日 (GW、お盆、年末年始、3日以上の連休日):15日以前はキャンセル料は発生いたしません。(http://www.senkyou.jp/cancel/ よりの転載)
宿が一方的に泣き寝入りをする体質改善のためにも、今一度、キャンセルポリシーを見直されることをお勧めいたします。