リアルエージェントと付き合いのある宿泊施設は、年末に「タリフ」の更新作業がようやく一段落した、といったところではないでしょうか。
このタリフ、未だに「紙」ベースのものが多く、しかも一度記載して提出したら訂正がきかないので、膨大な作業量が発生します。
ただ、ご存じの通り、リアルエージェントは衰退続きですので、せっかくこのタリフに対して真摯に向き合い、細やかな料金設定等しても、予約が発生せず・・・ということも見受けられます。
リアルエージェントも、平日を売ってくれるのならまだ付き合う意味もあるのでしょうが、どこで売っても売れる特定日(休前日やGW、お盆、正月など)しか売れないという旅行会社もあります。
そこで、宿泊施設としては旧態依然とした付き合いを続けるのではなく、リアルエージェントの「選別」をしなければなりません。
以前から本コラムに書いておりますが、当該旅行会社に提供しているブロック数÷総客室数で、リアルエージェントへの客室提供率を算出し、それを当該旅行会社の年間宿泊売上÷宿泊施設の年間宿泊売上で宿泊占有率を算出し、比較するというものです。
リアルエージェントへの客室提供率より、宿泊占有率が上回っていればまだ良いのですが、そういう事例は少なくなっていると思います。
それであれば、リアルエージェントへの客室提供をより少なくし、適正ラインに近づける方法が考えられます。
また、送客がほとんどなく、「客室提供を断りたい」というリアルエージェントに対しては、この機会に一度関係をリセットする(客室提供をしない)。
客室提供を続ける場合も、宿側が部屋の返却を要望した時、迅速に部屋を返却する約束を交わし、客室提供する方法もあります。
そもそも、送客がゼロに近い中で、宿側がタリフを作るという仕事は、成果がゼロでは時間の無駄であるよう思えます。
そんなリアルエージェントのタリフを書く作業をするなら、宿泊プランをより良いもに作りこむ、ブログやSNSに投稿する、公式サイトやOTAのサイトに季節の写真などを投稿する、メルマガを書く、などという成果につながる仕事をした方が良いはずです。
繰り返しになりますが、成果の出ないと分かっている仕事を、惰性で続けても生産性は上がりません。
当該業務によって発生する売上÷当該業務の人件費が、少なくとも「1」以上にならなければいけない。
さらに、数字が大きくなる仕事から、優先的に進めなければいけません。
他業種であれば当たり前のことが、様々な要因によってまだまだ出来ていないのが、宿泊産業の現状です。
今一度、自館の集客チャネルを見直し、今後の展開を予測しながら、成果に繋がる仕事の優先順位を構築し、仕事の割り振りや契約を見直していくことがより重要な時代になってきているのです。