• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2019年11月05日

    2018年3月11日 少ない時間働く文化を作る

    先日、地元のポートライナーに乗ったとき、ヤマト運輸が座席の裏に「2時間でもOK」というバイト募集広告を出していました。ターゲットは主婦や、引退した世代でしょう。ポートライナーに広告を出すコストは捻出できても、人の採用は続けなければといけない、という今の日本企業を象徴した広告でもありました。

    「ありとあらゆる業種が人材不足」というのは分りきったことです。クライアント旅館でも、最近「孫離職」という言葉をよく聞くようになりました。

    自分は元気でまだ働きたいのですが、娘や息子の子供の面倒を平日にみるため、仕事を辞める、という事案です。これは都市や地方に関わらず起きているようです。子供を平日に預ける施設が全国的に不足しているのが要因です。

    今までは、パートアルバイトでも、しっかり長時間働いてもらいたいと採用側は考えていたようですが、こういう状況では、いかにコマ切れの時間に働いてもらうか、を考えていかないと「働く人がいない」ということになってしまいます。

    最近、クライアントの旅館が求人募集で「私たちの旅館は短時間でも働けます」という広告を出しました。 今や時給ではなく、働きやすさが一番に強調されます。

    また、求人広告では人が集まらないので、今いるバイトスタッフの給与を上げて、そのバイトスタッフの周囲に良い人材を求めるケースもあるようです。

    さらに、経営者らが利用する飲食店などから、良さそうなスタッフをスカウトするなどの話しも聞きます。

    それほど、人員不足の問題は、どこも深刻な状況なのです。

    業界団体で立ち上げた「旅館・ホテルでおしごとnet求人サイト」(https://ryokanhotel-job.net/jobfind-pc/)というサイトも、徐々に成果を上げてきているという話も聞いています。

    有名な旅館や、採用に積極的な旅館ではすでにこのサイトに掲載されているようで、アンテナの高さと実行力はさすがだと思ってしまいました。

    運よく働く人を見つけても、社員教育の問題や、もっと働きたいという人に対しては103万円の税金の壁が立ちふさがるなどあります。国が働きたい人の意欲を、抑制しているとしか思えないようにも感じます。

    根本的に「Aさんが残っているから私もまだ職場にいないと」という、長時間労働を暗に促すような文化が残っていると、せっかく膨大なコストや時間と知恵を使って採用した人も、すぐに辞めてしまうことにつながります。同じ人が長く働く職場ではなく、さまざまな人が短い時間で効率的に働けるような仕組みを目指していかなければ、企業は成り立っていきません。

    1人の人が10の業務を完遂する、ということではなく、3人の人手で10の業務を分けて担当し、しっかりと業務を完遂させるという組織体系に変えていくことも、生き残っていく施策の一つではないでしょうか。

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