先日、あるセミナーで、国内OTA(オンライン旅行会社)の平均キャンセル率は40%、海外OTAの同率は70%、という指数が発表されていました。
例えば、10組の予約があると、実際宿泊するのは国内OTA経由のお客様は、10組×(10組×40%)=6組。国内OTA経由のお客様は10組×(10組×70%)=3組ということになります。
インターネットの売上公式は、ネット売上=客数×客単価=予約数×(100%-キャンセル率)×客単価という図式が成り立ちます。いくら「予約数」を増やしても、キャンセル率が高ければ、労力ばかりかかり売上(来館)につながらない。
予約数を増やすために①SEO対策②リスティング広告③メタサーチ上での広告――などを頑張っても、キャンセル率が高ければ、貴重なお金をドブに捨てるようなものです。
さらに、国がインバウンド強化を謳っているなか、日本人客でも非常識な予約があります。今までの性善説に基づいた予約スキームだと、多くのチャンスロスが発生してしまいます。重要なのは、キャンセル率を「どう」低くするかです。予約の段階で、ミスマッチを起こしているお客様には即キャンセルしてもらい、部屋の滞留在庫を防ぐことです。
例えば、お客様から「チェックインは深夜の1時になります」と連絡があった場合、「当館のチェックインは午後8時までですのでそれまでにお越しください」と回答すれば「この宿には泊まれないな」と分かりキャンセルされます。また、お客様の「〇×空港まで迎えに来てください」との要望には「送迎は近隣の▽■駅までです」と回答すれば「空港に近い別の宿を予約しよう」となる。 そもそも、自館に来てもらいたくないお客様の選別は、早い段階で処理しないと、架空予約ばかりでは、実益につながりません。
また、繁忙日には「クレジットカード決済必須」+「強固なキャンセルポリシー」を構築する。例えば、お盆などは「クレジットカード決済限定」&「予約した段階でキャンセル料が発生する」仕組みで、仮抑えなどを排除する。さらに、海外OTAからの予約が多い施設は、70%がキャンセルの可能性があるので、特定期間までお客様とのやりとりをしない」という考え方もありです。
いくらメールで細かなやり取りをしても、キャンセルされれば売上は0円となり、仕事はタダ働きです。観光やアクセスの問い合わせは、観光協会や旅館組合に任せることもありでしょう。
ノーショウを極力抑え、キャンセル料をしっかりと徴収する仕組みはますます必要です。予約数を増やし、客単価を上げることも重要ですが、「キャンセル率」という視点でネット予約を考えたとき、まだ増売の可能性が残っています。
旅行会社を含め、国内OTA&海外OTAの「キャンセル率の検証」を行い、キャンセル率が低い媒体に優位性を持たせる働きかけも今後、重要です。