観光文化研究所(大坪敬史社長)は2月18日、東京都内で旅館業経営者向けの「繁盛クライアント先旅館『成功事例』大公開セミナー」を実施した。人材難のなか、今いる人材を教育し、最大限の付加価値を生んだ、具体的な事例を説明した。
3部構成で開いた同セミナーは、第1部を生産性向上のための、課題の抽出と解決策の具体例を提案。第2部では覆面調査や接客マニュアル作成事例、DVDを紹介。第3部ではOTA(オンライン旅行会社)と、自社ホームページの活用法を用いたマーケティング事例を説明した。
第1部は同研究所の井川今日子氏が旅館規模別に生産性向上の成功事例を挙げた。「省略可能な業務を省き、その分のフォローが重要」と主張した。そのうえで、覆面調査と改善の事例を紹介した。バイキング会場にトレイがなく、料理の近くに皿が置いていなかった旅館に対して、「生産性向上も大事だが、もう少しお客様目線に立ちましょう」と提案。トレイを復活し、食器の位置変更を指導した。
また、別の宿では献立に料理説明を記載し口頭説明を省いて、業務効率化を達成。口コミ評価を下げず、繁忙期を乗り越えた。
第2部は「即効性に定評あり! 研修&マニュアル作成導入で旅館を繁盛させる法大公開!」と題し、井川氏が具体的なマニュアルと覆面調査報告書の内容を紹介。マニュアルは「お客様をお待ちする場所」や「料理の提供方法」、「雨天時の出迎えの対応」などを写真つきで作成した事例を挙げた。覆面調査は「気遣い」と「安心信頼」、「スムーズ・スピーディーな対応」などの項目で、宿の問題点を抽出し、解決策を提案した過去の事例を語った。また、同社が具体的な料理提供方法や清掃方法などを収めたDVDを披露した。
第3部の「公式HPから売上倍増! Web売上を上げつつ、公式HP経由の売上を増やす方法とは?」と題し、大坪社長がOTAの活用と付き合い方や、直販を強化した事例を旅館規模別に説明した。
200室規模の説明では松乃井(群馬県・水上温泉)の事例を紹介。PCサイトからスマートフォン、タブレット対応に変更した結果、「客室稼働率をが倍になり、Web売上が10億円を超えた」と語った。
50室規模と20室規模の宿については、ベストレート保証の有効性や、OTAから自宿のホームページに誘導する方法を説明し、売上が増加した宿を挙げた。
大坪社長は「旅行市場は今年10月に予定されている消費税増税にマイナスイメージを持っており、マーケティングなどの改善は必須。変化はチャンスと捉え、次の時代につなげてほしい」と総括した。